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組みをするために、選手達は各自に適したコンビネーションキックを使って移動した結果である。短い時間に完壁な土台組みをすること、これが成功の秘訣である。
(2)両腕の解放
上級者の演技はテーマを設定し、使用音楽、振り付け、コスチューム共にテーマに即したものが多い。テーマの的確な表現には、スピーディな動き、高く水面上に押し上げられた上半身、更に両腕の解放が最大の効果をもたらす。2回目の採点・アーティスティック・インプレッション(芸術点)の中で50〜60%の割合を占めるのが演技構成に対する評価である。設定されたテーマを、いかに多種多様の要素・技術をルーティンに組み込んで的確に表現されているかが採点される。
立泳ぎで両腕を使う演技は高さとボリューム感を出すことはできるが、スピードという点から見れば、コンビネーションキックに勝るものはない。また、片腕・両腕の動作はキックの方向を変えることにより、水面に対して360度の広範囲な表現領域を可能にしている。立泳ぎから上向き、下向き姿勢に移行するためにも、コンビネーションキックは不可欠のものであり、その逆も同様である。

3. 一般的なコンビネーションキック

(1)立泳ぎから横への進行動作(エッグビート)を行い、自然に脚を進行と逆方向に流し、サイドキックになる。(図3)
(2)バックキック・サイドキック・クロールキック・サイドキックと身体を水面で1回転させる。
(1)・(2)の動作で片手を上げると負荷が大きくなるため、一段と力強いキックが必要となる。また、(1)の動作を複数人で手をつないで行うと、推進力が増強されるし、直線進行、波状進行等、動線の美しさも表現できる(図4)。また、必要に応じて、キックにアクセントを付けることで水面に対する身体の高さをアピールすることも可能である。

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図3

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図4

4. 工夫されたトレーニング

ルーティン中の推進力増強に重要な役割をはたしているコンビネーションキックのトレーニング方法は、次のようなものが一般的である。
(1)バックキック
推進力を強化し、上半身を水面上に高く押し上げるためのもので、脚部は水面下45度位の位置で大きく強いキックが求められる。更に強度を上げるために、両腕を水面に垂直に上げるが、その時も上半身の高さを落とさないために、更に強力なキックを継続すると共に、両腕・首・上半身のストレッチングも忘れてはならない。
例外として、リズム水泳では意識的に水面に泡をたてるキックを使う。この場合、水面にたてられた泡をルーティン中で効果的に使用するには、一定期間キックを続けながら同じ位置に静止しなければならない。このようにキックする方向を変化させることにより、推進力を止める工夫もされる(図5)。

 

 

 

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